今年からリニューアルされたお得で使いやすい助成金として話題になっている「時間外労働等改善助成金」という助成金をご存知でしょうか?中でも「勤務間インターバル制度導入コース」は難易度が低めに設定しているので、申請しやすい上に、残業代の削減につながるお得なコースです。この記事では、制度の仕組みや、取組方法などを解説しているほか、実際に申し込んだ書類を交えた申請書類の記入方法もご紹介しています。
時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)とは?
勤務間インターバルとは、勤務終了後~翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、労働者の健康保持や過重労働防止を図るための仕組みです。休息時間(インターバル)として「9時間~11時間」が奨励されています。ちなみに「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」では、「9時間以上11時間未満」「11時間以上」の区分で支給額が定められています。これらの目標を達成した場合に、取り組みにかかった経費の一部を支給される仕組みです。
勤務間インターバル制度を導入するメリットとしては、以下のことが挙げられます。
メリット
- 休息時間を保障することは、労働者の健康が確保される
- 会社のイメージアップにつながり、人材確保や離職率低下につながる
- 業務効率化や生産性向上が期待できる
デメリット
- 無理に導入すると労働効率を下げしまい、業務効率が悪化することがある
- 仕事を家に持ち帰ったり、タイムカードを押してから残業したりする可能性もある
勤務間インターバル制度や助成金については、打刻ファースト内の以前の記事でもご紹介していますので、ご一読下さい。
支給対象となる事業所
時間外労働等改善助成金に共通する受給要件は、下記に記した事業所である必要があります。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 次の表のいずれかに当てはまる事業主であること
業種 資本または出資額 常時使用する労働者 小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1 億円以下 100人以下 その他の業種 3 億円以下 300人以下
さらに下記のいずれかに該当する事業所である必要があります。
- 勤務間インターバルを導入していない事業所
- 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業所
- 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業所
具体的には、以下のいずれかを「成果目標」として取り組む必要があります。
新規導入
勤務間インターバルを導入していない事業所が対象で、事業所内の半数を超える労働者を対象者に、休息時間9時間以上の勤務間インターバル制度を導入すること。
適用範囲の拡大
既に休憩時間9時間以上の勤務インターバル制度を導入している事業所は、対象者が労働者の半数以下での場合、対象となる労働者の範囲を拡大して半数を超える労働者を対象とすれば申請が可能。
時間延長
既に休息時間9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業所は、労働者の過半数の休息時間を9時間以上とすれば申請が可能。
支給対象となる取組み
助成金の支給を受けるためには、下記の取り組みを1つ実施する必要があります。
1.労務管理担当者に対する研修
管理職らに対して、労働時間の設定などの改善に向けた必要性について周知を図るため、外部講師を招き研修を実施したり、外部の専門家が開催するセミナーに参加したりすること。
2.労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部講師を招いた研修を実施
- ノー残業デー・ノー残業ウィークの実施
- 年次有給休暇の取得率の目標設定の周知を行うこと
- 2週間程度の長期休暇制度の導入
- 取得しやすい雰囲気づくりを促進すること など
3.社会保険労務士、中小企業診断士などによるコンサルティング
社会保険労務士、中小企業診断士などの外部専門家による業務体制の現状の把握、問題点・原因の分析、対策の検討・実施など
4.就業規則・労使協定等の作成・変更
勤務間インターバルの導入を行うために必要な就業規則や労使協定等の作成をしたり変更したりすること
5.人材確保に向けた取組
- 求人情報サイトや求人情報誌、新聞等への求人広告の掲載
- 合同企業説明会への出展
- 求人パンフレット・ダイレクトメールの作成 など
6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 勤怠管理ソフトウェアなどの導入や更新。
- 事業場独自の勤怠管理ソフトウェアの開発(自社開発を除く) など。
7.労務管理用機器の導入・更新
労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を記録することができるタイムレコーダー、ICカード、ICカードの読取装置等の導入・更新。
8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 車載器本体、記録媒体(メモリーカード)などの車載機器の購入
- 読取装置(メモリーカードリーダー)や分析ソフトウェアなどの事業所用機器の導入・更新
9.テレワーク用通信機器の導入・更新
- 労働者がテレワーク実施のために使用する機器として、シンクライアント端末装置、VPN装置
- 事業所の機器として、シンクライアントサーバ、VPN装置、ネットワーク監視装置等の導入・更新
- パソコン、タブレット、スマートフォンは対象外
10.労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
労務管理用機器、労務管理用ソフトウェア、デジタル式運行記録計、テレワーク用通信機器のいずれにも該当しない、労働者が直接行う業務負担を軽減する、または生産性向上により労働時間の縮減に資する設備・機器等の導入・更新。

出典元:、厚生労働省の「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」
今回実際に申請し受給した助成金
労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新の助成金を申請した結果、無事に支給されることになりました。今回は、実際に申請した書類と記入例を交えて解説していきます。
労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新の助成金とは
早速、時間外労働等改善助成金交付申請書の記入例を見てみましょう。フォーマットは、厚生労働省の「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」からダウンロードできます。では、実際に記入した申請書と記入例を交互に見ていきましょう。
- 実際に申請した申請書
- 振込を希望する金融機関の記入例です。
- 目的、国庫補助所要額、その他の記入例です。

- 実際に申請した申請書
- 記入例
- 実際に申請した申請書
助成金の内容は「ビジネスフォンの導入」と「作業効率化の為のシステム開発要件」です。
- 時間外労働等改善助成金交付申請書の記入例です。
- 実施した内容の記入例です。
実際に受給されると、下記のような「国庫金振込通知書」が届きます。

まとめ
時間外労働等改善助成金って聞くと「なんだか難しそう」「うちには関係ない」と思われる方も少なくないと思いますが、実は難易度がそれほど高くありません。特に、今回紹介した「勤務間インターバル導入コース」は、成果目標のハードルが低く設定されていますので、ぜひとも申請をしておきたいコースの一つです。働き方改革が推進されている今、労働時間の短縮やワーク・ライフ・バランスの実現のために取り組んでみてはいかがでしょうか。