神戸新聞によると神戸地検特別刑事部は2019年2月28日に大阪区中央区の経営コンサルタント会社「T−LAC」の社長と従業員の3名を逮捕しました。
助成金不明受給の手口「正社員化コース」
T−LAC社は顧客企業と共謀し従業員を非正規雇用から正規雇用に切り替えた際に支給される「キャリアアップ助成金」の制度を悪用し、元々正規雇用だった従業員を非正規雇用から転換したと見せかけて助成金を不正に受給した疑いがもたれています。
今回不正の手口で利用された「キャリアアップ助成金」は詳しくはキャリアアップ助成金の中の正社員化コースという助成金の種類になります。
正社員化コースとは
- 非正規雇用の従業員を正規雇用に転換する事で1人当たり57万円(生産性の向上が出来た場合72万円)の助成金を受給できる
- 1事業所あたり1年度20人まで申請可能
- 最大限申請すると1事業所で1140万円受給が可能
キャリアアップ助成金の正社員化コースについてはこちらの「中小企業が絶対に申請すべきキャリアアップ助成金完全解説」という記事でしっかりと解説しておりますのでぜひご覧ください。
今回T-LAC社はこの手法で7400万円を不正に受給し更に同様の手口で7700万円不正に受給した疑いがあるという事で取り調べられています。

助成金や補助金を不明に受給するとどうなるか?
今回のように助成金の制度を悪用し助成金を不正に受給するとどうなるのでしょうか?
助成金や補助金を不正に受給すると…
- 各都道府県の労働局による事業者名の公表
- 補助金交付等停止措置を受け補助金の停止
- 代表者(社長)の詐欺罪での逮捕
補助金については不正に受給した際には「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に基づき返還をしなければなりません。
もちろんただ返還するだけでは無く年「10.95%」の加算金を加え返済しなければなりません。
参照元:防衛省自衛隊 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)(抜粋パンフレット)


まとめ
助成金や補助金は雇用保険や税金から予算を割いて支給されるものです。受け取るべき事業所が受け取らずに不正に受給する事はあってはなりません。社長の皆さまも助成金は儲かる。という話に惑わされず御社の経営状況にあった助成金を正しく申請しましょう。本来助成金は事業を成長させる為、雇用を安定させる為に使われるべきお金です。