労働関係助成金が割増される「生産性の向上」について5分で解説

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労働関係助成金が割増される「生産性の向上」について5分で解説

助成金を調べていると「生産性」という言葉を頻繁に見たり聞いたりするかと思いますが「そもそも生産性って何なの?」と疑問に思っている人は多いのではないでしょうか?日本では少子高齢化、人口減少が深刻な問題になっています。この問題は日本の労働人口の減少に直結してきますので、日本企業に与える影響は大きいでしょう。そこで政府は労働人口減少の対策として、限られた労働者の中で効率的に生産性を向上させた企業が労働関係の助成金を利用する際、その助成額や助成率を増額することで、企業の生産性向上の取り組みを支援しています。それでは、具体的に生産性について解説していきます。

生産性とは?

生産性とは?画像
労働人口の減少が見込まれている中、今後の経済成長を支えていくには労働生産性を高めていくことが必須となります。経済成長を高めるには、従業員のスキルアップはもちろん、働きやすい職場環境の改善、業務効率を上げるための設備導入などがあげられます。これらの取り組みを実施した企業を支援しようと、生産性を向上させた企業が労働関係の助成金を利用する場合に、その助成額が増額されます。

生産性とは?

生産性とは、限られた労働人口や時間でどれだけ成果を上げることができたのかということです。生産性が上がれば上がるほど、同じ労働時間でより多くの利益を上げることができるようになり、残業が減る分、人件費の削減につながります。仕事を効率的に進める上で、必要な仕事とそうでない仕事を見極めていかに集中して取り組むことができるかどうかが大切です。

どの程度生産性が向上したら助成金を割増出来るのか?

労働関係の助成金は、助成金の申請を行う直近の会計年度の生産性が「3年前に比べて6%以上のびていること」または「3年前に比べて1%以上(6%未満)のびていること」(※事業性評価を得ていること)のいずれかの生産性要件を満たした場合に助成額が増額されます。

事業性評価

「事業性評価」とは、労働局が、助成金を申請する企業の承諾を得た上で、事業計画を金融機関に照会し、その回答を参考にして、割増支給の判断することです。

スタッフ
生産性要件の算定期間中は、会社都合で従業員を解雇しないようにしましょう。会社都合で解雇した場合は、要件をみたせなくなります。

生産性要件の具体的計算方法

生産性要件の具体的な計算方法 画像
それでは、生産性要件の計算方法について解説していきます。産性要件を算出するのに便利な「生産性要件算定シート」が、厚生労働省のホームページに掲載されています。必要な項目を記入することで簡単に生産性を算定できますので、これからフォーマットを作ろうと思っている方はぜひご活用ください。
生産性要件算定シートの見本です。
生産性要件算定シート見本画像引用元:厚生労働省「生産性要件算定シート

生産性要件の具体的計算方法

生産性要件を理解していただいたところで、今度は具体的な計算方法についてご説明していきます。生産性は以下の計算式で計算します。
生産性要件の計算式 画像

生産性の計算方法は、「営業利益」「人件費」「減価償却費」「動産・不動産賃貸料」「租税公課」をすべて足し、「雇用保険被雇用者数」で割った数値が伸び率になります。この伸び率が、直近の会計年度と3年前の会計年度を比較した時に6%以上、または1%以上であれば生産性を満たしたことになり、助成額が増額されます。

また労働者1人あたりが生産できる成果を数値化したものを労働生産性といいます。労働生産性の数値を算出する方法は、以下の数式で算出できます。

労働生産性の計算式 画像
労働生産性には、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2種類に分けられ、算出する目的に応じて使い分けられます。計算式や計算方法はそれぞれ異なります。

物的労働生産性

物的労働生産性とは「1人当たりの労働者が、効率的にどれだけ生産できたのか」という意味です。計算式は「物的労働生産性=生産量÷労働量」で算出します。物的労働生産性は、労働者がサービスや製品をどのくらい効率良く生産しているのかを数値化したもので、設備投資の判断や品質管理などの参考値として活用できます。

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性とは「1人当たりの労働者がどれだけ効率的に働き、付加価値の高い仕事をしているのか」という意味です。具体的には、車を1台を製造・販売した際にかかる材料費や人件費などを差し引いて残った利益のことです。計算式は「付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費」で算出します。

労働生産性の向上を目指す企業が増えている背景には、「人材不足の対策」と「ワーク・ライフ・バランスの実現」があります。

労働力人口の減少が見込まれている中、現在も人材不足の問題を抱えている産業にとって対策は急務となっています。労働力が減る一方で、品質の良い商品やサービスの需要が高まっています。企業としては、少ない労働力で品質の良い商品を作ることが求められている状況です。このような状況で、効率よく成果を生み出すことに必要なことは「労働者のスキルアップ」「業務効率化」「経営効率の改善」です。労働者のスキルややる気が向上すれば必然と労働生産性も向上します。そのため、新しい機器を導入したり、研修を受けさせたりするなど、労働者一人当たりの労働生産性を高める努力が企業側に求められています。
一方で、長時間労働による過労死や生産性の低下が問題視され、政府は「働き方改革」を加速させています。これにより企業は、労働者が短時間で効率の良い業務をこなし、正当な評価を得られる働き方の促進を求められています。生産性向上のためには、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現が重要ということになります。

スタッフ
せっかく助成金を申請するならば、たくさんもらいたいですよね。そのためには労働環境を改善するなど労働者が働きやすいような職場環境に整備し、生産性向上を目指しましょう。

生産性要件の記入例

生産性要件を算出する「生産性要件算定シート」が厚生労働省のホームページに掲載されています。必要な項目を記入することで生産性を算定できる便利なシートです。
生産性要件算定シート画像

スタッフ
助成金を申請する際は、損益計算書、総勘定元帳など各勘定科目の証拠書類を提出する必要があります。
生産性要件シートの項目を説明します。

項目 説明
生産性の算定対象となる
企業名・支店名等
損益計算書等の財務諸表は企業単位で作成するため、生産性も企業単位で算定さ れ ま す が 、 助 成 金 は 原 則 と し て 事 業 所 単 位 で 支 給 申 請 し ま す の で 生産性は事業所の単位に最も近い単位の組織で算定します。
具体的には、連結決算を採用の場合は連結前の個別企業単位の財務諸表から、また支店独立会計制度を採用の場合は支店単位の財務諸表から必要な勘定科目の額を転記します。「生産性の算定対象となる企業名・支店名等」「申請事業所名」欄は
これを踏まえて記入して下さい。
①~⑤ 損益計算書の「営業費用」の「販売費及び一般管理費」の中に含まれる①~④に該当する勘定科目の額や、⑤の「営業利益」として計上されている額を損益計算書(内訳書)や総勘定元帳から転記します。
製造業や建設業の場合、①~④に該当する科目は、損益計算書上の「売上原価」の中にも含まれるので、それらの額も、「製造原価報告書(明細書)」「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書」か総勘定元帳から転記する必要があります。なお、これに該当する勘定科目を記載する場合は勘定科目の名称の頭にそれぞれ「(製)」「(工)」「(兼)」と付します。
①人件費 <対象となるもの>

  •  従業員の給与、通勤費など諸手当、賞与に相当するも
  • 「法定福利費」(社会保険料等)、「福利厚生費」
  • 「雑給」(臨時アルバイト等の給与)
  • 「研修費」「教育訓練費」(社員研修の費用)
  • 「製造原価報告書(明細書)」「完成工事原価報告書」等に含まれるこれらの勘定科目については、通常「労務費」としてまとめられていますので、その額を転記しても差し支えありません。(ただし「退職金」「労務外注費」が含まれる場合はそれを控除します)

<対象とならないもの>

  •  従業員の「退職金」(※)※これが計上される年度とそうでない年度の差が大きくなりすぎるため除外します。
  •  役員の「報酬、賞与、法定福利費、各種手当、退職慰労金等」
  •  出張旅費などの「旅費交通費」(通勤費を「旅費交通費」の中に含めている場合を含む)
  •  派遣労働者に係る派遣手数料に相当するもの(「外注加工費」など)
②動産・不動産賃借料 「地代家賃」「賃借料」など
(1)付加価値 ①~⑤に入力した値の合計を記入します。
(2)雇用保険被保険者数 各事業所で管理しているデータ(労働保険料申告書にも用います)を利用するほ か 、 正 確 な 人 数 を 「 事 業 所 別 被 保 険 者 台 帳 交 付 請 求 書 」 に よ っ てハローワークに照会することができます。人数は、財務諸表の作成単位(企業単位、支店単位)と同じ単位の組織の人数を 記 入 ( 企 業 や 支 店 の 中 に 複 数 の 事 業 所 が あ る 場 合 は そ の 事 業 所 の被保険者数を合算し、その事業所名と事業所番号を記した任意の書面を添付)して下さい。助成金申請事業所のAとBの会計年度の末日現在の人数を記入して下さい。なお、雇用保険被保険者数には、「日雇労働被保険者」や季節的に雇用される「短期雇用特例被保険者」は除きます。
(3)生産性 付加価値((1)欄)を雇用保険被保険者数で割った値を記入します。
(小数点以下四捨五入)
(4)生産性の伸び 直近年度(B)とBの3年度前(A)の伸び率を記入します。
(小数点以下2桁切り捨て)
6%以上又は1%以上(6%未満)(※)の場合に生産性要件を満たすこととな
ります。
(※)1%以上(6%未満)の場合は、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていることが必要です。
(5)生産性の向上に効果
があった事業主の取組
具体的な内容を記入してください。
(例:従業員の能力開発・意欲(働きがい)の向上、働き方や働きやすさの改革、
業務の効率性や成果を高める設備の導入など)

引用元:厚生労働省「労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます

生産性要件の設定をしている助成金の紹介

生産性要件の設定をしている助成金の紹介 画像
労働関係助成金にはたくさんのコースがあります。そのうち、生産性要件が設定されている助成金は、雇用維持や障碍者の雇用環境整備など一部を除いた助成金が対象となります。

分類 助成金名称 コース名
再就職支援関係 労働移動支援助成金
  • 早期雇入れ支援コース(※1)
  • 中途採用拡大コース(※2)
雇入れ関係 地域雇用開発助成金 地域雇用開発コース
起業支援関係 地域雇用開発助成金 生涯現役起業支援助成金(※3)
雇用環境の整備関係 人材確保等支援助成金
  • 雇用管理制度助成コース
  • 介護福祉機器助成コース
  • 介護・保育労働者雇用管理制度助成コース
  • 人事評価改善等助成コース(※4)
  • 設備改善等支援コース(※5)
  • 雇用管理制度助成コース(建設分野)
  • 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
  • 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
雇用環境の整備関係 65歳超雇用推進助成金(※6)
  • 高年齢者雇用環境整備支援コース
  • 高年齢者無期雇用転換コース
仕事と家庭の両立関係 両立支援等助成金
  • 出生時両立支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 再雇用者評価処遇コース
  • 女性活躍加速化コース
キャリアアップ・人材育成関係 キャリアアップ助成金
  • 正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 健康診断制度コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 諸手当制度共通化コース
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース
キャリアアップ・人材育成関係 人材開発支援助成金
  • 特定訓練コース(※7)
  • 一般訓練コース
  • 教育訓練休暇付与コース
  • 特別育成訓練コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
最低賃金引き上げ関係 業務改善助成金  

※1 生産性要件が複数ある支給要件のひとつとなっています。
※2 生産性要件を満たした場合の助成については、事業主が計画開始日の前年度から3年年度経過後に申請し、生産性を向上させた場合(伸び率が6%以上)にのみ支給されます。
※3 生産性要件を満たした場合の助成については、事業主が計画書を提出した年度から3年度経過後に申請し、生産性を向上させた場合(伸び率が6%以上)にのみ支給されます。
※4 生産性要件を満たした場合の助成については、事業主の計画認定申請時から3年経過後に申請し、生産性を向上させた場合(伸び率が6%以上)にのみ支給されます。
※5 計画期間3年の場合、計画の開始から一定期間経過(1年・2年・3年)ごとに生産性の伸び率が異なります。(計画期間1年の場合は※2と同じ。)また、計画期間3年の場合で、導入する設備等に対して金融機関からの融資を受けた申請事業主が事業性評価を希望する場合のみ、事業性評価の対象となります。
※6 生産性の伸び率が1%以上(6%未満)である場合の金融機関への事業性評価の対象外となっています。
※7 生産性要件を満たした場合の助成については、事業主が訓練開始日の前年度から3年度経過後に申請し、生産性を向上させた場合(伸び率が6%以上)にのみ支給されます。
引用元:厚生労働省「労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます

※助成金を紹介し当サイトでページがある助成金には文字に内部リンク設定をお願いします。

生産性を向上させるメリットとデメリット

生産性を向上させるメリットデメリット 画像
限られた時間と労働力で高い成果を出すことを「生産性の向上」といいます。生産性を上げるとどういったメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれご説明します。

メリット

  • 少ない労働力(投資)で大きな成果を得ることができれば利益が増える
  • 業務を見直すことで無駄な業務(工程)や経費削減につながり利益が増える
  • 利益が増加すれば、従業員の賃金に還元される可能性もある
  • 労働者のスキルが向上することで生産量がアップする
  • 決められた時間内に成果が出せるようになれば、残業時間が減り、家族と楽しむ時間や自分の趣味を楽しむ時間が増えてプライベートが充実する

デメリット

  • 採算が見込めない事業の売却や縮小に伴い従業員をリストラすることがある
  • 業務の効率化を図るために新しい設備投資などで経費がかさむことがある
  • 従業員へしっかりと説明する機会を設ける必要がある
スタッフ
生産性があがれば日本経済が活性化していきます。そうなると、労働者だけではなく、消費者としても恩恵が受けられるメリットがあります。

まとめ

みずほ総合研究所が2017年5月に発表したリポートによると、2016年には6,648万人いた労働人口は、2065年には4,000万人と約4割減少することがわかりました。そのため労働人口の生産性向上が急務となっていますことは、この記事を読んで頂いた方はもうご理解いただけているかと思います。この生産性向上の取り組みは企業の課題だけではなく。日本全体の課題と言えます。そのために政府は積極的に取り組んだ企業に対し、助成金を増額するという形で支援しています。助成金の申請を検討している経営者は、ぜひこの助成金を活用して生産性向上を目指しましょう。

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